優勝の後ろ姿【C大阪戦】
磐田 4-3 C大阪
「優勝する、もう負けられない」
力強い菅沼駿哉の言葉に胸が震えた
高校野球の頼れるキャプテンか
それとも、全勝優勝した横綱か
いい意味で‘らしくない’ほど
その言葉は力強かった
2008年7月17日
名古屋を逆転で破った試合
マン オブ ザ マッチで
インタビューに答えた茶野隆行も
「優勝する」と宣言した
ところが、その言葉とは裏腹に
この勝利の後、9戦未勝利
チームは残留争いに巻き込まれ
ついには入れ替え戦を経験した
チームは変わった
あの頃の面影は無い
そう言うのは言いすぎだろうか
メンバーも大幅に入れ替わった
そう言えばあの頃(2008年)も
そんなことを言っていたような気がするが
あの頃から更に
チームは変わっている
常に変わり続けるチームの中で
シーズンを通して力を出し続けるのは容易い事ではない
その上で小林裕紀(No.7)をどう捉えるか
彼の動きこそが磐田の生命線だったとするならば
今の磐田の不安定な戦いにひとつの答えが浮かんでくる
そう、舵取り役のボランチ
その舵に迷い、もしくはやりづらい状況があったとするならば
もちろんそれだけが原因ではない
得てして不幸な結果というものは
些細なことの積み重ねであることが多い
そう考えれば星の数ほどある原因のひとつだが
放っておけば取り返しのつかない結果になりかねない
この試合で監督の下した決断は
結果的に最高の結末をもたらした
松浦・ペクに代えて山崎・阿部もさることながら
それ以上にコバヤシユウキ同士の交代(No.7→No.50)
「ネタになるから」ということではない
バランスに重きを置いた小林裕紀(No.7)から
前に挑戦した小林祐希(No.50)の起用
ボランチの攻撃参加が必要不可欠
それを証明した
だが、勘違いしてはならない
バランスを取る
これもまたボランチの役目である
不安定な状況の中で
ボランチの果たすべき攻撃と守備のバランスを
選手交代でとって見せた監督の采配
それは見事であった
当然ながら、その期待に応えた選手も見事である
2-3から試合をひっくり返す2得点を挙げた
エース前田
今日の勝因は、の問いに
「相手よりたくさん点を取ったから」
笑いをとったとか
寡黙な前田のリップサービス
それが珍しいのではない
実にシンプルでありながら
勝負の原理をついた一言
そう、強い者が勝つのではなく
勝った者が強い
勝ち点で優勝が決まるということは
そういうことである
3点取られても
4点取れば勝ち
0点に抑えても
1点も取れなければ引き分け
勝負は非情とも言える
そんな非情な世界に
我々人間は喜怒哀楽をあらわにする
感情の無い世界に
感情をもたらす
優勝という目には見えないもの
それが何となく見えるような気がするのは
人間の素晴らしさか
優勝の後ろ姿は
磐田の輝ける選手たちによって
まぶしく照らし出される
そして、その後ろ姿を我々は追いかけていく
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